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なんかもやもやしているお馬さんのブログです。 ホラーとミステリーとパズルゲームと電気の明かりを好む蛾みたいな性質のヤカラが書いているので、兎に角ダークです。 うへへへへへへへへへへへ。
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とあるお方の誕生日プレゼントとして執筆したものです。うへ。
勿論フィクションです。うへ。

『樹海の夢魔-雪玉恵裕のケース-』

―この文章はとあるサイトに掲載されていた物である。

---

 「ここ、A樹海と言えば、国内でも有名な自殺の名所だ。
一度迷いこんだら二度と出られない。そんな噂があるA樹海。いやな噂だぜ。
だが、そんな噂も強ち嘘ではないらしい。何でも、磁場の影響で携帯電話も使えないらしいし、方位磁針もおかしな方向を指し始めるらしい。
オマケに熊が出るそうだ。入口付近に食い散らかされた人の死骸が転がってたなんてとんでもねえ話を聞いたこともある。
だが、自殺志願者にはお似合いかもな。出てくる必要もねえし、死んで熊に喰われりゃ誰にも知られずに死ねるってもんだ。
どうせ死体回収人の連中の鞄の中に治まる頃にはしゃれこうべになっちまってるんだろ?
あんたも気をつけな。死にてえって顔してねえから大丈夫だろうけど。」

 ある日、僕がA樹海の周辺を歩いていると、見ず知らずの探検家の様な恰好をした老人がそんな長話を垂れてきた。
僕は愛想を作って首を下げると、その老人はにやりと笑ってもう一度僕の顔を見た。
そして、ペコリと頭を下げて僕の傍を通り過ぎようとした時だった。
また、その老人が声をかけてきたのだ。
「そう言えばよ。この辺りに物騒な奴がうろついているらしいぜ。
何でもよ。樹海に入って行って、自殺志願者を見つけては殺して行くんだってさ。
人間てのは、狂っちまうと止まらねえんだな。殺してあげますよって言われた自殺志願者は、はい喜んでって言っちまうんだってさ。
恐ろしいもんだぜ。そんな野郎もこの世にいるんだな。」
「ああ、なんでしたっけ。樹海の夢魔とか言う奴のことですよね。
あいつの噂ならよく聞きますね。人殺しなんて何が面白いんでしょうね。
それに同意殺人だって立派な犯罪ですからね。そんな物騒な奴は早く捕まってほしい物です。」
僕が笑ってそう言うと、その老人も笑い顔を作って去っていった。

 夜。僕はリュックを背負ってA樹海に向かった。
生い茂る雑草が僕の行く手を阻む。足元に枯れた葦が絡みついてくる。だが、そんな事はいつもの事だ。
懐中電灯を片手に進んでいくと、ついに高い木々が並ぶ樹海の入口へたどり着いた。
「死にてえな」だとか、「DEATH」だとか、そう言った落書きだらけの自殺防止の看板。効果がないのに何故置きっぱなしにしているのだろうか。
まあいいか。こう言った無力の象徴を見るのは実に気味が良い。

 立ち並ぶ木々の太い枝には、絞首台を思わせる紐の輪がぶら下がっている。
残念だがこの下に白骨死体は無かった。少し空しい気分になる。折角樹海に来たのだから白骨死体を見て帰りたい。
肉のついた死体は幾つも見ている。あんなもの、人を殺せば見れる。
まあいいか。僕は死体を見たくて樹海の夢魔になったのではない。人を殺したくて樹海の夢魔になったのだ。

 樹海の夢魔。これはこのA樹海に潜む殺人鬼の呼び名で、僕を含めて5人いるし、皆顔も知っている。
僕達は皆で一つのサイトを作り、自殺志願者を募集したり、殺した人数を競ったりしている。
メンバーは、僕、雪玉恵裕(ユキタマ ケイスケ)、僕の妹の雪玉雛恵(ユキタマ ヒナエ)それに大学の友人の大倉翔太朗(オオクラ ショウタロウ)、
九十九結衣子(ツクモ ユイコ)、後、この近辺で知り合ったニートの桔梗田絢芽(キキョウダ アヤメ)
成績は桔梗田が一番。次に僕と妹が並んでいる。
因みに樹海の夢魔は金稼ぎも兼ねている。僕はバイトでコンビニの店員をして生計を立てているが、樹海で殺した人間の手荷物から金になりそうな物は貰って行く事にしているのだ。
ただ、たまにお金をくれる人も居る。もう死ぬからお金なんかいらないんだそうな。

 さて、人を見つけた。二人いる。
両方とも女性だ。片方は中肉中背で色っぽい顔をしている。
ピンクのトレーナーに青いジーパン。立った姿勢のまま傍の木に視線を注いでいる。
もう片方は身長は高く痩せている。顔立ちも整っていてモデルのようだ。
アイボリーのワンピース。彼女は座ったまま、鞄に手を突っ込んで何かを探している。
間違いない、彼女たちは自殺志願者だ。そう確信した僕は彼女達に近づいて行く。
「もしもし。死のうとしてますよね。」
僕が声をかけると彼女達は震えてこちらを向いた。
「そうよ。邪魔しないで。」
ジーパンの方がそう言った。どうやら警戒しているようだ。まあ、大体の人間はそうだ。自殺を止めに来た人間だと思われているのだろう。
だから、こう言う言葉をかけてみる。
「いや、僕は貴方達の自殺を止めに来たわけではありません。むしろ逆です。貴方達を殺しに来たのです。
僕に貴方達の命をください。悪いようにはしません。」
そう言うと、彼女達はどうやら僕の正体がわかった模様。先程のジーパンが急に馴れ馴れしく話しかけてきた。
「貴方、樹海の夢魔の一員でしょう。本当にいたんだ。じゃあ、殺してもらおうかしら。ねえ、エミちゃん。」
「そうしましょう。ねえ、樹海の夢魔さん。どんなふうに殺してくれるの?」
「そうですね。貴方達、凶器は持ってますか?拳銃、ナイフ、ロープ。最悪の場合はハサミや鉛筆なんかでも大丈夫です。
無ければ素手で首を絞めて殺して差し上げますが…。」
すると、ジーパンの方が「私、ロープを持ってきたわ。」
「分かりました。では、ロープで殺して差し上げます。少し苦しいですが、我慢してくださいね。」
僕は彼女から長めのロープを受け取ると、それを両手に持ち、ジーパンの彼女の首に巻き付けた。
「じゃあ、私は先に逝くわね。エミちゃん。あの世で会いましょうね。それとも、二人一緒に死ぬ?」
そう訊かれたワンピースの彼女は、微笑んでうなずいた。
「そうですね…、二人同時に殺すというのは難しい事なのですが…。仕方ありませんね。」
僕は背中のリュックからナイフを二つ取り出した。
それを両手に握り、腕をだらりと下げ、こう言った。
「そこに横に並んでください。今からこのナイフを同時に貴方達に突き刺します。そうすれば二人同時に死ねますよ。」
そう言われた二人は横に並んだ。
「それでは、行きますよ。」

 僕の足元には二つの死骸。胸の傷からは大量の血が噴き出している。
とても嬉しそうな顔を浮かべている。目的を達成できたからだろうか。
「これで、貴方達は永遠に幸せですよ。」
僕はそう言い、微笑んだ。

end.

勿論フィクションです(笑)こんなサイト探そうともしてません(笑

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うへぇ。
こにゃにゃちゎ。お久しぶりです~せっちゃんです笑゛

Gamygynさんの小説久しぶりに読ませてもらいましたが……なんか何とも言いようのないぐらいに忘れてしまっていたジャンルのようでかなり新鮮でございました(ぁ
結末が読めるようで読めなくてなんだかどきどきしました(笑
ロープならまだ良かったのに、ナイフは止めて、止めてと心の中で叫んでました(ぁ
グロいのは基本苦手なんですょね…でも血程度なら平気なのですー…寧ろ懐かしかったでs(マテ

描写もさらにお上手になりましたよね(偉そうに
ゃ、前よりももっとっていうか、より上達された気がします。

作風もなんだか統一されてきたような、そんな気が致しました、はい(何

でゎでゎ、短いですけどこれにて。
課題頑張ってくださいねぇ(またか
雪月花 2008/04/07(Mon)08:52:27 編集
Re:うへぇ。
こにゃにゃちわ。明太子スパゲティ大好きGamygynです(笑

ホラーでもこう言うスタイルで書く人は2,3人ほどでしょうね(笑)
大抵のホラーって主人公がピンチに陥るケースが多いですけど、主人公が殺人鬼ですからね(笑
こう言うスタイルって結末は読まれやすいんですけど、そこをまた一捻りするのが面白いというか、その人の『らしさ』が見えます。
実際はロープの方が辛いっぽいですよ(何を言い出す)ナイフは心臓に突き刺されば即死ですけど、ロープはしばらく「うぐぐ…」って(笑

僕も…、多分グロいのは苦手です(ゑ)いや、グロい絵が駄目なのか(ぁ

描写…、そうですかねぇ?(自覚なし?
昔に比べて長文をかけるようになりましたが、うまくなったかどうかは分かりませんです。
でも、最近凄く面白い小説ばかり読んでるのでそうかも知れません(笑
『八つ墓村』…『犬神家の一族』…。

作風…、ただ大人しくなっただけです(笑)昔みたいに無茶苦茶な小説が思いつかないだけです(笑


課題は一応粉砕しました。
でわー。
【2008/04/07 09:25】
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男性
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1990/09/21
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自己紹介:
ホラーな人っていう噂です。
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