インプロヴィゼーション『天使と悪魔のお話』

　ここは天使の国の城。真っ白一色に塗られた城壁、屋根。内装も真っ白。カーペットも、柱も、キッチンの家具も完全に白に統一された世界。天使達はそんな所に暮らしておりました。
　この国は決して平和ではありません。
時折、悪魔の軍団が攻撃を仕掛けてくるのです。
もちろん、城下の天使達は朝も昼も夜も休む事が出来ず、常に危険と隣り合わせの毎日を過ごしておりました。
　所代わって悪魔の国の城。此方は外装も内装も真っ黒に統一されており、インテリアもまがまがしい物ばかり。
場内では筋骨隆々とした凶暴な悪魔達が、天使の国を攻め落とさんと、戦の稽古をしているのでした。
「よし、これ位にしよう。明日はまた天使達の国へ攻め込む。体を休めておけ。」
屈強な騎士の悪魔がそんな号令をかけると、その部下の屈強な悪魔達は一斉に訓練を止め、詰め所に戻っていきました。明日、この屈強な軍団が天使達の国に攻め込むのです。ああ、天使達は一体どうなってしまうのでしょう。

　翌日、遂に悪魔の軍団が天使の国に攻め込んできました。彼らは城下の町をあっという間に攻め潰すと、遂に本丸を包囲してしまいました。　天使の城の中は大変です。城下から逃げてきた町民でいっぱいになり、更には悪魔の外を包囲され大パニックに陥ってしまいました。
「ああ、どうしよう。これまでは返り討ちに出来たが、この数では…。」
天使の将軍達は大慌てで作戦会議をし、大慌てで装備を調え、討って出ました。
　本丸の扉が開いたのを見た悪魔達は持っていたサボテンを振り回して突入を試みたのですが、なんと彼らは一瞬で返り討ちに遭ってしまいました。
「我らの最新兵器、有刺鉄線バットの威力をとくと見よ！」ある天使はそう叫ぶと、有刺鉄線バットで悪魔達に殴りかかりました。

　まさに死闘です。悪魔達はサボテンや蛍光灯、パイプ椅子である天使の将軍を叩きのめすと、親の仇と言わんばかりに悪魔の騎士を馬から引きずり降ろし、有刺鉄線バットや国語辞典で叩き、更には相手の傷口にカラシを擦り込んだりして倒していきます。
壮絶です。お互いに大ダメージを受けながらも戦っているのです。

　やがて、辺りが静かになりました。
辺りには気絶した天使と悪魔が倒れており、その上にはクマが沢山おりました。戦に勝ったクマ達はあっという間に白と黒に変わっていきました。

こうして、パンダと言う動物は生まれました。

勿論作り話です。たまにはこういうのも書きたくなるのさ。